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高エンタルピープラズマ-非電離気体共存系の複雑流動シミュレーション手法の構築
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熱プラズマなどの高エンタルピープラズマと非電離気体の共存系の流動をシミュレーションするためには、室温~1万度超という大きな温度の時空間変化を同じ計算領域内で取り扱わなければなりません。同時に温度変化に伴う物性値や密度の変化も考慮に入れる必要があります。一方でマッハ数は小さく、渦の動的挙動をシミュレートするためには、圧縮性流れ用のシミュレーション手法では非常に長い計算時間を要してしまいますので、非圧縮性流れ用のシミュレーション手法を用いることが現実的となります。しかしこれは数値計算において“とても過酷な条件”で、計算は容易に破綻してしまいます。そのため、これまでのシミュレーションでは解を得るために計算を安定に行うことのできる手法が用いられてきました。ところがそのような「従来の手法」は計算を安定化すると同時に物理的な不安定性も抑制してしまうため、得られる結果は渦運動が再現されないものとなってしまいます。一方で、渦運動を伴う現実的な流体運動を再現するためには(過酷な計算条件において解を得るには大きな労を要しますが)やはり渦運動の捕捉に適したスキームとアルゴリズムを組み合わせた新手法を考案する必要がありました。研究の結果、物理的な不安定性(渦運動)の捕捉と数値的に安定な長時間計算を両立できるシミュレーション手法の構築に世界で初めて成功しました。 たとえば、熱プラズマジェットが Kelvin-Helmholtz不安定性によって周囲の低温気体を巻き込み、プラズマ遠方にも多数の渦を誘起しながら、それらの崩壊によって乱流化するということは30年ほど前に米国での実験により示されてました。それにもかかわらず、これまで数値シミュレーションによって再現されたという報告がなかったのは上記の理由によるところですが、この度ようやくブレークスルーに至ったといえます。 協力:東北大学サイバーサイエンスセンター ※ 詳しくはこちら(↓)をご参照ください。Plasma Sources Science and Technology, Vol. 21, No. 5, (October, 2012), pp. 055029 (14 pages). Masaya Shigeta Journal of Physics D: Applied Physics, Vol. 46, No. 1, (January, 2013) 015401 (12 pages). Masaya Shigeta Journal of Physics D: Applied Physics, Vol. 49, No. 49, (November, 2016), pp. 493001 (18 pages). Masaya Shigeta Journal of Flow Control, Measurement & Visualization, Vol. 6, (April, 2018), pp. 107-123. Masaya Shigeta IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering, Vol. 14, (January, 2019), pp. 16-28. Masaya Shigeta Plasma Chemistry and Plasma Processing, Vol. 40, Issue 3, (May, 2020), pp. 775-794. Masaya Shigeta |
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溶接における溶融金属流動と熱エネルギー輸送を捉える粒子法シミュレーターの開発
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溶接は、自動車・鉄道(車両もレールも)・船舶・航空機といった輸送機器や、建物・橋・プラント設備といった構造物などの製造に用いられている、名実ともに人類社会を支えている、ものづくりの基幹プロセスです。しかしその一方で、たとえば最もよく使われているアーク溶接は、わずか1立法センチメートルの中に固・液・気・プラズマの4相が相互に影響し合いながら同時に存在するという複雑な系ですので、そこで起きている流体現象や熱エネルギーの輸送メカニズムは今もなお未解明で、主にノウハウで施工されているのが現状です。 そこで、粒子法という流体シミュレーション手法に溶接プロセス特有の物理モデルを(なければ新たに考案して)組み入れることでコンピュータ内で現象を再現して、実験計測できない情報(溶融金属内部の温度や流速、電磁気力の向きや大きさなど)をCGで可視化することでまずは観て理解し、さらに得られた数値データを解析することで現象解明を図っています。また、実験では不可能な非現実環境(たとえば電流が流れていても電磁気力やジュール発熱が生じないとか)を意図的につくってシミュレーションを行うことで、現象を本質的に決定付けている因子を浮き彫りにすることもできます。現象を複雑に覆っているベールを1枚1枚剥がしていくイメージです。このようなアプローチを「数値実験」と呼んでいます。 なぜ粒子法を用いるかというと、相変化による移動境界や自由表面の大変形をともなう流体運動への適合性が高いからです。また、計算格子(メッシュ)を用いるシミュレーションよりも、粒子を追いかけるという点で直感的にわかりやすいということが挙げられます。そのため、流体工学を専門としない研究者やエンジニアにとっても、利便性が高く、使いやすいシミュレーターの開発したいという思いで、この研究に取り組んでいます。 よかったら下記のWebマンガも見てみてください。(閲覧無料) (一社)日本溶接協会,原作:茂田 正哉,作画:たつのからこさん 実験協力:大阪大学接合科学研究所 田中研究室 ※ 詳しくはこちら(↓)をご参照ください。 溶接学会論文集, 32巻, 4号, (December, 2014), pp. 213-222. 伊藤 真澄, 伊澤 精一郎, 福西 祐, 茂田 正哉 Quarterly Journal of the Japan Welding Society, Vol. 33, No.2, (May, 2015), pp. 32s-38s. Masumi Ito, Yu Nishio, Seiichiro Izawa, Yu Fukunishi, and Masaya Shigeta Quarterly Journal of the Japan Welding Society, Vol. 38, No. 2, (May, 2020), pp. 84s-88s. Ryo UENO, Hisaya KOMEN, Masaya Shigeta, Manabu TANAKA |
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プラズマ流動場におけるナノ粒子集団形成現象の数式化と計算アルゴリズムの考案
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プラズマ流を用いることで、ナノメートルサイズの超微粒子を大量創製することができると期待されています。しかし、その超高温の熱流動場やナノ秒~ミリ秒にわたって起こるナノ粒子形成の直接計測は非常に難しいため、その物理現象はほとんどわかっていません。物理現象がわからなければ、用途に合ったナノ粒子を作ることはできません。そこで本研究では、数学と物理学の理論に基づいた方程式系(数理モデル)を組み上げ、さらにそれを解くための数値計算アルゴリズムも考案することで、現象解明に取り組んでいます。 ナノ粒子は様々な分野での応用が期待されています。 ナノ粒子を効率的・高精度に大量創製できるようになれば、これらの分野は飛躍的に進歩し、その結果として私達の社会に多大なるイノベーションをもたらしてくれるはずです。 この研究の最終的な目標は、コンピューター内にバーチャル(仮想的)な実験システムを構築することです。このシステムが完成すれば物理現象を詳細に解析することができるようになるだけでなく、安価で仮想実験を繰り返すことができるようになるため、現在の実験研究が抱えている「高額な設備と運転費用」という大きな問題を打開することができます。そして、よりイノベイティブなナノ粒子創製プロセスの制御方法を見出すことができるようになり、新機能をもったナノ粒子の開発や新たな創製システムの発明へとつながっていくことが期待されます。 協力:東北大学サイバーサイエンスセンター ※ 詳しくはこちら(↓)をご参照ください。Journal of Applied Physics, Vol. 108, Issue 4, (August, 2010), pp. 043306 (15 pages). Masaya Shigeta and Takayuki Watanabe Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, Vol. 20, No. 4, (May, 2012), pp. 045017 (11 pages). Valerian A. Nemchinsky and Masaya Shigeta Powder Technology, Vol. 288, (January, 2016), pp. 191-201. Masaya Shigeta, Takayuki Watanabe Nanomaterials, Vol. 6, (March, 2016), pp. 43 (10 pages). Masaya Shigeta, Takayuki Watanabe Journal of Flow Control, Measurement & Visualization, Vol. 6, (April, 2018), pp. 107-123. Masaya Shigeta IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering, Vol. 14, (January, 2019), pp. 16-28. Masaya Shigeta Nanomaterials, Vol. 9, No. 12, (December, 2019), pp. 1736 (13 pages). Masaya Shigeta, Manabu Tanaka, Emanuele Ghedini Plasma Chemistry and Plasma Processing, Vol. 40, Issue 3, (May, 2020), pp. 775-794. Masaya Shigeta Journal of Alloys and Compounds, Vol. 873, No. 25, (August, 2021) pp. 159724 (9 pages). Y. Hirayama, M. Shigeta, Z. Liu, N. Yodoshi, A. Hosokawa, K. Takagi Journal of Alloys and Compounds, Vol. 882, No. 15, (November, 2021), ppl. 160633 (10 pages). Kwangjae Park, Yusuke Hirayama, Masaya Shigeta, Zheng Liu, Makoto Kobashi, Kenta Takagi Journal of Alloys and Compounds, Vol. 898, (March 25, 2022), pp. 162792 (7 pages). Y. Hirayama, M. Shigeta, K. Takagi and K. Ozaki |
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溶岩流を模擬した溶融金属の斜面流下・地形形成シミュレーション
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[D1 富田慎吾] 火山噴火は火砕流や火山灰・溶岩流といった現象を伴い、大きな災害を引き起こします。この中でも特に溶岩流は、その流入地域に壊滅的な被害を及ぼします。このような被害を軽減するには、ハザードマップの作成や都市計画の策定といった事前対策や、噴火後の避難や街を守るための土塁建設といった即時対応が求められます。どちらにおいても、その効果を高めるために、火山噴火に伴う現象を正確に予測可能なシミュレータの開発が必要です。 しかし、先行の溶岩流シミュレータは大局的な予測を行うに留まっており、溶岩における熱流体現象とその全体への影響に関する詳細な議論が不足しているため、予測精度は高くありません。そこで我々は、専門とする熱流体工学の知見やシミュレーション技術を活かすことで、溶岩流に特有の個々の熱流体現象の数値解析的な解明を行い、それらの現象の影響を考慮することで噴火現象全体の予測精度を向上することを目指しています。 これまでに我々は流下する溶岩による地形形成現象の再現に取り組みました。その一つが「溶岩堤防」と呼ばれるものです。流下中の溶岩において、その側部と底部が冷えやすいためにいち早く凝固する一方、流れの中心部は冷えにくいために、堤防状の地形が形成する現象です。また、もう一つの特徴的な形状として、先端部の凝固と溜まった溶岩の再流下を経て「つま先のような」構造が生じる様子も再現されました。これらの実際の火山噴火時に見られる地形形成はその後の溶岩の流下方向に影響を及ぼすため、予測精度の向上には重要な現象ですが、その形成過程や支配因子は未解明です。我々は溶接における溶融金属流れの知見を応用することで、凝固現象を伴う溶岩流のシミュレーションを行い、先行研究では未達成であった地形形成現象の再現に成功しました。 このようにして諸現象を再現した上で、その再現精度を向上させ、現象の解明に繋げることで、火山災害の軽減に貢献するシミュレータの開発という最終目標に向けて、日々研究に取り組んでいます。 ※詳しくはこちら(↓)をご参照ください。 Dynamics, Vol. 4, Issue 2, (April 19, 2024), pp. 287-302. Shingo Tomita, Joe Yoshikawa, Makoto Sugimoto, Hisaya Komen, Masaya Shigeta |
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超高温材料加工プロセスにおける熱流動現象の実験的可視化計測法の研究
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プラズマは肉眼で直視してはならないほど強く発光するため、相互作用している溶融金属はその光に埋もれてしまい観察することはできませんが、発光の物理を理解して適切に対処することで、動画のようにプラズマからの光のみを消して溶融金属の挙動を観ることができます。また、プラズマからの光自体にも特性があり、光学的な変換処理によって温度を求めることができます。たとえばアークプラズマの場合、最高温度が2万度近くに達することもありますが、温度計を挿入して測れるものではありません。そこでプラズマや光の物理についての知識が役に立ちます。 また、動画右上のようにステンレス上でアークプラズマを発生させると、下向きの高速気流があるにもかかわらず2層の青い発光領域が停滞し続ける(そしてそれが上部のタングステン電極を消耗させる?)理由は長く未解明でした。本実験計測とオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の理論的検討による国際共同研究によって、プラズマ内部をあたかも滝登りのようにイオンが遡上することが主たる原因であることを、最近ようやく解明することができました。 (※溶接アークプラズマとは異なるいくつかの別タイプのプラズマ生成装置も所有しています。) 撮影協力:大阪大学接合科学研究所 田中研究室 ※ 詳しくはこちら(↓)をご参照ください。Journal of Physics D: Applied Physics, Vol. 52, No. 35, (August, 2019), pp. 354003 (9 pages). Keigo Tanaka, Masaya Shigeta, Manabu Tanaka, Anthony B. Murphy Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 59, (November, 2019), pp. SA0805 (12 pages). Masaya Shigeta, Manabu Tanaka Quarterly Journal of the Japan Welding Society, Vol. 38, No. 2, (April, 2020), pp. 21s-24s. Keigo TANAKA, Masaya Shigeta, Manabu TANAKA, Anthony B. MURPHY Journal of Physics D: Applied Physics, Vol. 53, No. 42, (July, 2020), pp. 425202 (8 pages). Keigo Tanaka, Masaya Shigeta, Manabu Tanaka, Anthony B. Murphy |
[准教授 宗岡均]
プラズマとゆらぎ・熱流体の相互作用の理解と革新的なものづくりプロセスの創成(実験研究)

| 高圧、低温、超高温といった日常から離れた「極端環境」は、過酷な機械環境として重要であると同時に、材料プロセスや化学工学における反応場として大きな役割を担ってきました。一方、プラズマは電子・イオン・ラジカルなど多様な活性粒子を含む流体で「物質の第4の状態」と呼ばれます。これらの極端環境流体やゆらぎ流体と高エネルギー・高反応性のプラズマが相互作用することで、新たな物理現象が生じると共に、革新的なものづくりプロセスの実現が期待できます。私たちは、極端環境の流体の内部(in)、界面(on)、あるいはその状態を保持したまま(as)、放電やレーザーによりプラズマを生成・制御し、多様な光学的・電気的手法で計測しています。これによりプラズマ流体と周囲の流体・固体との相互作用の理解を深め、新しい材料創製や環境調和型プロセスの実現を目指しています。 |
トピック1:プラズマ×高温(熱流体)

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高温溶融物とプラズマの反応場の計測・可視化と基礎理解 プラズマと高温溶融物の相互作用は、機械材料として重要な各種金属の製造や接合に広く利用されてきました。その制御は、高品質な材料プロセスや製造プロセスの高度化(特に脱炭素化)に不可欠です。私たちは1500℃を超える高温炉内でプラズマを生成・制御し、プラズマ・高温溶融物の両者を詳細に計測する独自の実験系を構築し、反応場の本質的理解に取り組んでいます。 脱炭素製鉄に向けたプラズマ・高温溶融物反応の応用 鉄鋼製造は世界のCO2排出量の1割近くを占めており、脱炭素化が喫緊の課題です。その解決に向け、私たちはグリーン電力の活用が可能なプラズマエネルギーを用いた新しい製鉄プロセスを研究しています。反応場の精密制御、鉄鉱石還元、添加剤表面反応の制御、元素分析技術等の基礎研究・開発を総合的に進め、持続可能な材料生産を実現することを目指しています。 |
トピック2:プラズマ×高圧(超臨界流体・ゆらぎ流体)

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高密度・ゆらぎ流体中プラズマの計測・可視化と非平衡現象の解明 気体を高圧にすると液体と気体の中間状態である超臨界流体となり、臨界点近傍では密度ゆらぎが大きくなります。この特異な流体にプラズマを導入すると、通常の気体や液体にはない非平衡な高エネルギー状態が現れます。私たちは光学・電気的手法を用いた可視化・計測によって、未解明のダイナミクスや流体構造を明らかにし、プラズマ流体科学の新領域の開拓に挑んでいます。 超臨界流体中プラズマ放電を活用した革新的材料プロセス創成 高密度かつ大きな密度ゆらぎをもつ超臨界流体中でのプラズマ放電は、高密度・高ゆらぎな流体に荷電粒子や活性種が加わることで特異な流体状態を形成し、従来にない反応場を生み出します。この特徴を活かし、ナノ材料合成や環境調和型プロセスなど新しいものづくりの可能性を探求しています。基礎現象の知見を応用につなげ、革新的プロセスの実現を目指しています。 |